2025年04月28日
「失火責任法」とは??
ブログ

こんにちは!
今週は「失火責任法」について解説したいと思います。
こちらは火災が起きたときの損害賠償責任について定めた法律ですが、
正式名称は「失火ノ責任ニ関スル法律」と言い、
なんと明治32年に制定された非常に古い法律です。
内容をざっくり言うと、
「火事を出した人が、その火事で他人に損害を与えたとしても、よほどの過失(=重大な不注意)がない限り、損害賠償の責任を負わなくてよい」ということです。
逆に言えば「隣家の火災で自宅が損害を受けても、火元の家主からは賠償してもらえない場合がある」ということです。
では、よほどの過失(重大な過失・不注意)とはどの程度を指すのでしょうか?
■重大な過失の事例
・ガスコンロの脇にインスタントラーメンの袋を置き、ガスコンロの火を消さずに放置したまま目を離したことにより火災を発生させた
・ガソリンが入った瓶を、栓をしないまま燃焼中の石油ストーブ近くの足元に置いていたため、瓶が倒れてガソリンがストーブに引火し、火災を発生させた事例
・密閉状態に近い屋内で、点火中のストーブに近接して引火性の強い接着剤を使用した結果、火災を発生させた事例
・石油ストーブの火をつけたまま、カートリッジタンクに給油した上、タンクの蓋を閉めずに収納しようとして石油が漏れ、ストーブの火が着火して出火した事例
・寝たばこの危険性を十分認識しながら、何の対応策も講じず、漫然と喫煙を続け、眠ってしまい出火した事例
・台所のガスコンロにてんぷら油の入った鍋をかけたまま台所を離れたため、てんぷら油が過熱し出火した事例
いずれも故意ではないものの、そのままでは火災が起きることが簡単に想像できるケースであるにもかかわらず火災を発生させた事例であり、重大な過失であると判断されています。
■過失だが重大な過失でない事例
・飲酒した状態でガステーブルにアルミ製鍋をかけ、点火した状態で寝入ったため、アルミ製鍋が溶けて変形するほどに加熱され、ガステーブル周辺の可燃物に引火し出火、火災が発生した事例
・仏壇の前の燭台にロウソクをたてて点火し、そのまま外出したところ仏壇付近から出火、火災が発生した事例
・庭で枯葉等を燃やして消火した後、一度消えた火が再燃して出火、火災が発生した事例
え!?重過失とあまり変わらないのでは??と思われるケースもありますが、、
実際は個々の事案ごとに経緯を踏まえた裁判所判断となります。
なぜそんな法律ができたのでしょうか。
自分が燃え移らされた側だったとしたら小さい過失だろうが賠償してほしいですよね?
昔の日本は木造家屋が密集しており、一軒火事になると周囲にすぐ延焼してしまうことが多く、火事を出した人が全責任を負うのはかわいそうだと考えられたようです。
という事で、隣人に期待はできないので自分の保険はしっかりしておきましょう!
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